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ステンレス技術情報
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ステンレス用語、ステンレス用語集ア行
アニール
焼鈍、焼なましのことです。「焼鈍」を参照してください。
塩水噴霧試験
塩化ナトリウムを利用した促進腐食試験法です。 金属材料又はメッキなどの表面処理をした金属材料を一定条件の塩水噴霧にあて、耐食性を評価する試験方法です。JIS Z2371では、35度に設定した試験槽内に金属片を入れ、5%(±1%)の 塩化ナトリウムを一定時間噴霧します。 その後、金属片の耐食および腐食性を評価します。
応力
材料の表面または内部のある面にかかっている力をその面積で割ったもの。 単位面積当たりの力。
応力除去焼鈍
鋳造、溶接、塑性加工、機械加工などによって生じた残留応力の除去を目的とした熱処理です。
応力腐食割れ
「時期割れ」または「置き割れ」とも言います。 特定の腐食環境下で、引張応力がかかった金属材料が、腐食環境にない場合よりも低い応力で、ある時間後に脆性的に破断する現象。 主に合金でみられ、材料、腐食環境、引張応力の3要因がそろうと発生します。 深絞り製品の応力腐食割れの例として、塩素雰囲気におけるステンレスやアンモニア雰囲気における真鍮の割れがあります。 応力腐食割れ対策としては、応力除去焼鈍や表面処理を施すことが効果的です。
オーステナイト系ステンレス
オーステナイト系ステンレスは、一般的に耐食性、加工性、溶接性に優れ、各種用途に広く使用されています。代表鋼種は18%Cr(クロム)-8%Ni(ニッケル)のSUS304で、18-8ステンレスと呼ばれています。
固溶化熱処理を行った状態で、高いじん性と延性を有し、普通鋼と比較して引張り強さが高く伸びも大きいです。 深絞り加工用としてSUS304、SUS304L、SUS305、SUS316Lなどが使用されています。L材(ローカーボン材)であるSUS304Lは、時期割れ感受性が低く、深絞り加工に向いた素材です。
- 性質 -
オーステナイトは非磁性体ですが、冷間加工することによって組織がマルテンサト変態化して磁性を帯びます。加工硬化は、非常に大きく、2種類のメカニズムから構成されています。一つ
はオーステナイト自身の硬化で、もう一つは加工誘起マルテンサイト変態による硬化です。 マルテンサイト変態化のしやすさは鋼種によって異なり、変態量が大きいほど硬度及び磁性は増します。
- 体系 -
SUS300シリーズ:Fe-Cr-Ni系合金、非磁性
オレンジピール
「肌荒れ」とも言います。 曲げ、絞りなどの板成形により発生する金属表面の荒れ。素材の結晶粒径が大きくなると肌荒れは増大します。表面状態がオレンジの皮のように見えることから、オレンジピールと呼ばれています。 インゴット精練を終了した溶湯を鋳型に注入してできた鋳塊のこと。そして、熱間圧延や熱間押出の為に、スラブ、ビレットに分塊される。
オーステナイト
面心立方格子のγ鉄に炭素(C)を最大2.1%まで固溶した固溶体組織で、727℃以上の高温で安定な組織であり、通常、常温では存在しない。しかし、オーステナイト生成元素のNi、Mnを多量に固溶すると常温に於いてもハチの巣のような六角形の結晶粒を示すオーステナイト組織が得られる。
ステンレス用語、ステンレス用語集カ行
加工硬化
「ひずみ硬化」とも言います。 特に冷間加工において塑性変形によるひずみの増大により変形抵抗(硬さ)が増加する現象。
カジリ・焼付
ある金属が他の金属上を移動するとき、金属表面が不完全潤滑のとき摩擦熱によって溶着してしまうことをいう。
硬さ
「物体の硬さとは、これを他の物体をもって押しつけるとき、その物体の変形に対する抵抗力の大きさをもって規定する」との定義であるが実際には「ブリネル硬さ HB」「ショア硬さ HS」「ロックウェル硬さ HRC」「ビッカース硬さ HV」の値で比較して硬さを知ることになる。一般に硬い材料は強さや耐摩耗性が大きく、伸びや絞りが小さい。また、HB、HS、HRC、HVの相関はかたさ換算表で確認するが、大体の目安は以下の様になる。 HV≒HB 、 HS≒HB / 10+12 、 HS≒HRC+15 →硬度
硬さ試験
材料の機械的性質の中で硬さを調べる試験で、押込み硬さ(HB ブリネル硬さ、HV ビッカース硬さ、HRC ロックウェル硬さ)などがあり、反発硬さ(HS ショア硬さ)の2種類に区分けされる。
強靭性 (tenacity:きょうじんせい)
引張強さや靭性と同義語。材料の強さと靭性を合わせ有する性質の優劣をあらわす用語。 →引張強さ、 靭性
金属間摩耗
金属同士の摩擦により摩減が起こることをいう。回転、振動、硬度、熱間等の環境が寿命に大きな影響を与える。結晶粒金属は多くの微少の結晶からできている多結晶体である。そしてその結晶の一つ一つを結晶粒という。この結晶粒の境を結晶粒界といい不純物が集まりやすく「粒界腐食」など腐食されやすい場所である。金属の結晶粒の大きさは0.01~0.1mmぐらいである
結晶粒度
結晶の細かさは、一般には単位面積中にある結晶の数、または平均の結晶粒径で表され、これを結晶粒度と言っています。一般に金属は急冷するほど、多数の核ができて結晶が成長する余裕がなくなるため微粒となり、徐冷するほど核の生成が少なく粗粒となります。 結晶粒度を表す指標として、ある面積の中に存在する結晶の数から換算する結晶粒度番号があります。結晶粒径が小さいほど結晶粒度番号は大きくなります。
研磨
ステンレス、金属(製品)の表面を物理的に磨くことをいいます。 バフ研磨やバレル研磨、薬品などで表面を磨く化学研磨があります。 光輝焼鈍光沢のある金属表面を保つために行う焼鈍です。真空、不活性気体中または還元性雰囲気で焼鈍して、表面の酸化脱炭を防ぎます。
結晶粒の微細化
結晶粒が粗いと強度(引張り強さ、伸び、衝撃値)が低い。結晶粒は溶融金属を冷却する時、遅いと結晶が粗くなり、強度がないため鋼材としては使用できない。この時850℃以上に再度加熱して急冷したり、鍛造する事により結晶粒を細かくすることにより強靭性材として使われる。
固溶化熱処理
合金中の溶質元素を均一に固溶化(溶け込ませる)ための熱処理。「溶体化処理」とも言います。 オーステナイト系ステンレスの場合、処理温度は1,000℃~1,100℃前後で、熱間圧延中に析出したクロムの炭化物や窒化物を固溶させて均一なオーステナイトにします。加工硬化を取り除いて軟化させる場合も同じ熱処理をします。
高珪素合金
i(珪素)の成分が高い合金のこと。ステンレスの中ではシリコロイ鋼が4.5%と高い。ステンレスのほとんどは1.0%以下である。ステンレスの中でもSUSXM15J1は3.0~5.0%であるがCが0.08%と高い。シリコロイ鋼の特徴はSiが4.5%と高く、Cが0.02%以下と低いことに起因する。
孔食
すきま腐食の一種であり、「点食」ともいう。アルミやステンレスの不動態被膜面が有機物などの異物が接触している箇所で、あるいは塩素イオンの溶液中で、主に中性付近の塩素イオンが吸着して部分的に被膜が破壊されて内部に浸透する腐食である。
ステンレス用語、ステンレス用語集サ行
残留応力
外力が作用していない物体の内部に生じている応力が残留応力で、「内部応力」とも言います。塑性加工で成形した製品に関しては、応力腐食割れや時期割れを誘起することがあります。 一般的な対策としては、応力除去焼鈍があります
酸化
加熱の際、金属が酸素と結合して酸化物をつくり、これが表面に積層されたものをスケール(銹)という。
時期割れ
応力腐食割れ、置き割れとも言います。 割れが発生した雰囲気が腐食環境下の場合は応力腐食割れ、そうでない場合は時期割れと区別することがあります。「応力腐食割れ」を参照して下さい。
磁性化
非磁性のオーステナイト系ステンレスは、冷間加工(絞り加工)によって、マルテンサイトに金属組織が変化し、磁性を帯びます。この現象を加工誘起マルテンサイト変態と言います。
絞り加工
平板の円板材から容器状の製品を成形する加工。プレス機を用いて円板の中央部をパンチをダイに圧入して加工します。
焼鈍
熱処理の一つで、所定の温度に加熱保持した後に徐冷して残留応力やひずみを除去します。焼鈍には、目的によって完全焼鈍、応力除去焼鈍などいろいろな種類があります。アニール、焼なましと同じです。
ショックライン
前工程で成形したR形状の部分が、製品表面に円周状の跡(線)として残る現象。
シェルモールド
精密鋳造法の一種。珪砂に熱硬化性高分子材料を加えたものを金型(雄型)の上におき、金型を加熱すると金型に接した側が硬化して、一種の殻状のものができる。この殻状のものをシェルと称し、これを組み合わせてその中に溶融金属を注入して鋳物をつくる。
質量効果
鋼材の質量の大小によって熱処理効果の異なる割合をいう。質量効果が大きいということは鋼材の大きさによって、熱処理効果の違い方が大きいということであり、大物になるほど焼きの入り方が少なくなるということを意味している。質量効果が小さいということは小物はもちろん、大物でもよく焼きが入るということである。
シャルピー衝撃試験
衝撃試験の方法で試験片の両端を支えて中央部を折って衝撃値を求める。シャルピー衝撃試験で試験片を破断するために使われた吸収エネルギーをその破断した部分の面積で割った値を求める方法で、一般にこの値が小さいのは脆い。
ショア硬さ HS
反発硬さで鋼材や非鉄金属など材質に左右されず、広範囲で測定できる。測定方法は、一定の高さから試験片の面に向けてハンマーを落とし、その跳ね上げ高さの比例値で示す。
衝撃試験
材料の動的衝撃に対する抵抗の度合いを測定するもので、ねばり強さ「靭性」、もろさ「脆性」を知ることができる。特に脆性を知る有効な試験方法である。シャルピー衝撃試験、アイゾット衝撃試験が代表的である。
衝撃値
材料の動的衝撃に対する抵抗の度合いの測定値。
時効硬化熱処理
「固溶化熱処理」した合金は、本来ならば低温で析出するはずの合金元素が、急冷により析出する間もなくむりやりとけ込まされた状態となっており不安定である。これが時間の経過につれて本来の安定な状態に戻ろうとして、ところどころ析出してくる。この析出により結晶はすべりにくく硬くなる。これを「時効硬化」といい、「析出硬化」ともいう。時効硬化には常温時効硬化と人工時効硬化があり、後者を「析出硬化処理」という。
縦弾性係数
ヤング率(縦弾性係数 E)
靭性
物質のねばり強さを技術用語で「靭性」という。引張試験での「伸び」の大小とは直接関係しないが、衝撃にあっても割れにくい性質である為、衝撃試験の数値が大きければ、一般にねばり強いといえる。
水冷式銅モールド
連続鋳造機の湯のでる所にこのモールドがあり、鋳片の形ができるところで、ブルーム、ビレット、スラブ等と形状に合わせた銅で水冷式で造られる。
隙間腐食
隙間の内部が選択的に腐食される現象で、特にステンレス、アルミに多いです。 材料の合わせ目、溶接部、ごみや付着物の下などで隙間腐食は発生します
ステンレス
ステンレスとは、Stainless Steelの略称で、さびにくい鋼のことです。
鉄(Fe)にクロム(Cr)を12%以上添加すると、空気中でほとんどさびが発生しなくなります。素材の表面に鉄とクロムの酸化物が生成され、これが腐食に対する保護被膜として作用します。
ステンレスは12%以上Crを含むFe-Cr系合金が基本となります。
- 体系 -
主成分によって、Cr系とCr-Ni系があります。Cr系にはマルテンサイト系、フェライト系があり、Cr-Ni系にはオーステナイト系などがあります。ステンレスは、成分によりJISで規格化されており、材料メーカー独自の規格もあります。
スリーブ
「しわ押え」とも言います。 再絞り加工時にフランジ部を加圧してしわの発生を防止するための型部品です。
ステライト
硬質鋳造合金工具材料でコバルト、クロム、タングステンを多く含み、高温でも硬さが落ちない切削工具や弁の盛金などに賞用されている。本材は鍛造できないのが欠点で、脆くて衝撃で欠損しやすいが、耐摩耗性と高温硬さが大きく、熱膨張係数と溶融温度が鋼に近いので盛金用に最適である
砂型
鋳物を造る時の鋳型として砂でつくる型のこと。砂型にも焼型、セメント鋳型、生砂、油砂、シェル鋳型、フラン樹脂等があり、砂にもSiO2の含有量により、高温用等の差異がある。
脆化温度
鋼材をある温度(ex.435℃)で熱処理すると伸びがでなくなる所がある様に、伸びや衝撃値が異常に低くなる点を脆化温度という。しかし、熱処理で復元も可能。
精密鋳造法
精密な鋳型を適当なものでつくり、精巧な鋳物を作る方法をいい、ロストワックス法、インベンストメント法、シェルモールド法、マイクロキャスト法、マーカスト法などの総称である。これらの方法によるときは、鋳造後はほとんど機械加工を必要とせず、薄肉鋳物や複雑な構造の鋳物をつくることができる。
析出硬化熱処理
固溶化熱処理(溶体化処理)の後、時効硬化(析出硬化)を人工的に行うことをいい、ステンレスでは600番代のものが代表例である。この処理により、硬度が上昇する。
せん膨張係数
温度変化による膨張・収縮を温度が1℃上昇したとき、元の長さに対する単位長さの伸びで示す。(μm/℃)
全面腐食型
金属表面が海水、薬品、ガス等によって全面的に腐食が進行すること。腐食形態には全面腐食型、局部腐食型(孔食、粒界腐食、すきま腐食、応力腐食割れ等)があるが、形態としては全面腐食型の方が安定している為、良好である。
塑性(加工)
塑性は、物体が弾性限を超えた負荷を受けた場合にその形状や大きさが永久に変化する性質のことです。材料の塑性変形を利用して、金属などの材料を所定の形状・寸法に加工する方法を塑性加工と言います。 圧延、押出し、引抜きは、板、棒、線などの素材の製造に多く用いられています。鍛造、転造などは、塊状物を成形するのに対し、深絞り、曲げ、スピニングなどは板や管の成形に対して用いられています。分離加工であるせん断加工は、塑性加工と切削加工を組合せた加工法です。
SUS304
オーステナイト系ステンレス。ステンレスの中でも最も汎用品である。耐食性、耐熱性に優れる。家庭用品、建設材料、食品設備、一般化学設備、原子力用に使用されている。主成分は0.08C-18Cr-8Ni
SUS310S
オーステナイト系ステンレス。ステンレスの中で最も耐熱性に優れる。耐酸化性に優れ、高温用炉材に使用されている。主成分は0.08C-25Cr-20Ni
SUS316L
オーステナイト系ステンレス。SUS316の低炭素鋼。SUS316の性質に耐粒界腐食性を持たせたもの。ステンレスの中で最も耐食性に優れるが軟質で強靭性は有しない。主成分は0.03C-18Cr-12Ni-2.5Mo
SUS440
マルテンサイト系ステンレス。ステンレス、耐熱鋼の中で最も高硬度である。ノズル、刃物、弁、ベアリング等に使用されている。主成分は1C-20Cr
SUS630
析出硬化系ステンレス。強靭性、耐食性、高硬度を有し、ステンレスの中でもオールラウンド型。シリコロイ鋼はSUS630を上回る特性を有している。主成分は0.07C-17Cr-4Ni-4Cu-Nb
ステンレス用語、ステンレス用語集タ行
ダイ(ダイス)
材料を包んでまわりの形状・寸法を定めるための成形用金型。絞り加工ではダイ形状の設定がポイントとなります。
耐食性
腐食されにくい性質を耐食性が良いという。普通、鉄はさびやすく、ステンレス、アルミ、伸銅品はさびないといわれるが全く腐食しないものは無く、腐食されにくいということである。腐食には金属組織や内部応力といった内的要因と、溶接や曲げ加工、表面処理などの加工要因、そして温度や湿化、酸、各種薬品、使用環境などによる外的要因があり、それぞれの要因に対して、あるいは複合的に耐食性が問われる。
耐超低温性
液化酸素(液化温度-183℃)、液化窒素(液化温度-196℃)等の環境で使用される際に必要な特性。一般に低温になると著しく脆くなる傾向があるがSUS304,SUS316のようなオーステナイト系ステンレスは超低温に於いても靭性の低下が極めて少ない。-196℃の超低温衝撃値はSUS304,SUS316は118N/cm2と優秀である。シリコロイDは196N/cm2とSUS304,SUS316よりも優秀である。
耐熱性
高温においても強度があり、酸化しても脆くなりにくい性質のことを耐熱性が良いという。鋼、ステンレスではSUHと規格されている。
耐疲労性
繰り返し荷重に耐える強度のことを言い、「疲れ強さ」で表す。また、疲れ強さを引張強さで割った比率を疲れ比という。
耐摩耗性
耐摩耗性は硬さと密接な関係があり、一般に硬度の高いものは耐摩耗性も高いと言える。 耐摩耗性を改善するのは、鋼の場合、C量を増やすかCr、W、Vなどの添加元素を入れる。熱処理や表面処理により表面硬度を上げる方法もとられる。
耐力
多くの非鉄金属は降伏点を示さない為、降伏点のかわり耐力という用語を使う。これは応力(荷重)を抜いても元に戻らず0.2%の永久伸びが生じたときの応力Wを試験前の材料片の断面積(mm2)A0で割った値である。N/mm2(kgf/mm2)
鍛造
金属をたたいて成型すること。小ロット品や単純形状、あるいは大物などは任意に方向や角度を変えて成型する「自由鍛造(フリー鍛造)」で作られ、一方金型を使って型打ちする「型鍛造」は量産品や、複雑な形状、小物に利用される。
超硬
WC(タングステンカーバイト)などの粉末にCo(コバルト)を結合剤として添加して成形焼結した合金です。通常の合金工具鋼の硬さがHV800程度であるのに対して、超硬合金はHV900~1800と極めて硬いので耐摩耗性が要求される引抜きダイスなどに多用されています。
鋳造欠陥
鋳造品の欠陥のことをいい、ピンホール、巣、湯境、クラック、鋳肌荒れ等がある。鋳造欠陥は材質、砂型、鋳込温度等の影響により発生する。
鋳造性
溶湯が鋳型に入り凝固するのには良好な湯流れが必要である。特に薄肉、複雑形状であればなおさらである。シリコロイ鋼はステンレス鋼よりも湯流れが非常に優秀であり、厚さ1mmの薄肉品が可能。
調質
鋼の結晶粒子を微細にして材質を調整し、粘性、靭性を向上させることをいう。調質には熱調質法と機械的調質法の2種類ある。
ティグ(Tig)溶接
不活性ガス雰囲気中で、タングステン電極と母材との間に電流を使ってアークを発生させ、そのアーク熱により母材及び溶接棒を溶解して接合する方法で、アーク溶接の一種である。
鉄合金
純鉄に各元素を添加することで性能、材質を変化させたもので、鉄が主成分の合金をいう。 鉄合金には鉄、ステンレス、鋳物、特殊鋼等がある。
導電率
標準軟鋼(比抵抗1.7241μΩ・cm・20℃)の導電率を100%とした時、同温同体積の物質の比で示したもので数値の大きいほど伝導性はよい。
ステンレス用語、ステンレス用語集ナ行
内部応力
→残留応力
二相組織
一般に顕微鏡組織がオーステナイトとフェライトの2相が共存するものをいい、特に高強度、耐食性に優れている。ステンレスではSUS329J1,SUS329J2Lがあり、シリコロイではシリコロイB1,シリコロイB2,シリコロイC,シリコロイDが相当する。シリコロイA2はオーステナイトとマルテンサイトの二相組織である。
熱処理
鉄鋼その他の金属材料に所要の性質及び状態を与える為に行う加熱及び冷却の操作をいう。
熱伝導率
距離1cmについて1℃の温度差がある場合に、1cm2の断面積を通って1秒間に伝わる熱量をいい、数値の大きい程熱伝導性はよい。cal/℃・cm・secまたは(cgs)
熱膨張係数
温度の上昇によって物体の寸法が増加することを熱膨張といい、この変化は冷却によって可逆的である。多くの物質は熱膨張係数に対して特性値を示し、これは長さに変化を与え、温度上昇1℃につき、単位長さ(面積、容積)当たりの長さに変化を与える。
伸び(%)
引張試験において試験片が破断したときの伸びた長さを試験前の長さで割った百分率(%)。
ステンレス用語、ステンレス用語集ハ行
反力
鉄橋の橋桁と桁の間に支点となる支承(沓)があり、その支承が橋桁を支えることのできる最大荷重のことをいう。
パウダー
連続鋳造機で製鋼の際にNa,S,Ca等の混合化合物を添加し、鋼材の品質を安定化させる。この混合物をパウダーという。しかし、パウダーは強酸化性でロールやその他の部品の腐食を進行させる原因にもなる。シリコロイ鋼はパウダーに対しても優秀な特性を示す。
ヘゲ
表面が薄片状に剥がれた、あるいは剥がれかかった傷。素材内の非鉄介在物が起因となり発生する不具合です。 介在物の大きさや板厚・加工度合いによってピンホールや「やぶれ」となり、外観上だけでなく機能的に致命欠陥となります。 各製鉄メーカーでは、へげの発生を極力抑えるようご尽力されておりますが、発生率"0"は困難を極めます。 目視検査が一般的ですが、渦流探傷や画像による製品の外観検査も可能です。
ヒートクラック
加熱、冷却の繰り返しにより鋼材の表面にクラックが発生する。連続鋳造機のローラーは時間と共にクラックが大きくなり、さらにパウダーや酸化物が入り、亀甲状になると剥離が起こりEnd Pointとなる。シリコロイ鋼はヒートクラックが少ない
比重
密度ともいう。20℃、1cm3の水の重さ1gに対して同温、同体積の物質の重さの比を示す。
引張試験
引張試験で材料片が降伏点、耐力を越えさらに大きな荷重に耐えたとし、その時の最大荷重Wmax(Nまたはkgf)を試験前の断面積A0(mm2)で割った値を引張強さという。また一般的に引張強さが大きくなると、硬さ(硬度)も増してくる。引張強さ=Wmax/A0(N/mm2またはkgf/mm2)
比電気率抵抗(比抵抗)
長さ1cm、断面積1cm3の物質の電気抵抗をいう。また、この電気抵抗の逆数を、比伝導度または導電率という。一般に高温となるほど抵抗は増す。(μΩ/cm)
比熱
1gの物質の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量をいう。(cal/g℃)
表面硬化肉盛溶接材料
金属の上に溶接を行い、金属表面の硬度を向上させる為に用いる溶接材料。C系硬化肉盛材やNi,Cr,Mo,Co,W,B,V等の元素を組合せて各種目的に合わせた溶接材料がある。
ビッカース硬さ
HV 押込み硬さで、対角面136℃のダイヤモンド四角錐圧支を用い、試験面にピラミッド形のくぼみをつける。このときの荷重を、くぼみの対角線平均長さから求めた表面積で割った値で示す。
ビレット
棒、管、線用の主に円柱形の鋳塊のこと。厚い板状のスラブ、ケークと区別されている。
ピンホール
鋳造などの場合、溶湯中に吸収されるガスが、凝固過程で放出されるために発生する小さな気孔をピンホールという。
フェライト
体心立方格子のα鉄に最大0.02%の炭素(C)が固溶した固溶体をフェライトという。フェライトは鉄鋼組織中一番軟らかく、延性も大きく、常温では磁性体である。フェライトの欠点は腐食(さび)しやすい点である。ただ、フェライト系ステンレスは多量のCrをいれることにより、耐食性はオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系ステンレスの順で良好であり、加工性と溶接性に優れている。ただし、焼入硬化性は無い。また、フェライト系ステンレスも強磁性体である。
>>>オーステナイト・フェライト系ステンレス>>>
腐食減量
腐食の進行度を確認する為に鋼材をある環境下で一定時間、一定温度の下で曝し、鋼材の試験前後の減量を定量的に測定する。この減量のことを腐食減量という
フットローラー
連続鋳造機に使用するローラーで水冷式銅鋳型のすぐ下部にあるローラーの事。連続鋳造機に使用するローラーの中で最も過酷な環境である。特に耐熱性、耐食性、耐摩耗性、高強度、耐ヒートクラック性、非磁性が求められる。この場合、シリコロイDが最も有効である。
ブリネル硬さ HB
押込み硬さで直径Dmmの球圧支を用いて試験面に球状のくぼみをつける。このときの荷重をくぼみの直径から求めたくぼみの表面積でわった値で示す。
ステンレス用語、ステンレス用語集マ行
マルテンサイト系ステンレス
マルテンサイト系ステンレスは、焼入れ硬化性を示し、強度と耐摩耗性にすぐれているので、構造用鋼として広く利用されています。代表鋼種は13%Cr(クロム)のSUS410です。マルテンサイトは硬度が高い反面もろく、耐食性、溶接性、加工性はオーステナイト系ステンレスやフェライト系ステンレスより劣ります。
- 体系 -
SUS400シリーズ:Fe-Cr系合金、磁性
>>>マルテンサイト系ステンレス種類表>>>
曲げ試験
規格の試験片を規定の半径で規定の曲げ角度まで変形を与え、曲げられた部分の外側を検査し、亀裂や欠点の有無によって合否判定をする試験法である。
マザーメタル
鋳造の原料のことで、再溶解しても目標成分になる様に目標成分に調整した母合金のこと。
マルテンサイト
炭素(C)を過飽和に固溶したオーステナイトから急冷(焼き入れ)した焼入組織であり、急冷により面心立方格子のγ鉄から体心立方格子のα鉄に変わる(変態)。マルテンサイトは針状の細かな組織で、鋼の焼入組織としては最も硬く、強磁性体である。従って、オーステナイト系ステンレスが加工等によりマルテンサイトを誘起すると磁性を帯びることになる。マルテンサイト系ステンレスは、このマルテンサイト組織を持った高Cr鋼であり、特性は同様に、強磁性体で焼入硬化性に優れ、刃物などによく使われる。しかし、硬くて脆いという欠点もあり、また耐食性、溶接性、加工性はオーステナイト系ステンレスに劣る。
盛金
鋼材に溶接された金属をいう。
ステンレス用語、ステンレス用語集ヤ行
焼入れ
一旦、加熱、保持したものを急冷するもので、常温の水や60~80℃の油で冷やすことが多い。刃や刃物の焼入れはよく知られているように、硬度、耐磨耗性を得ることができるが、反面脆くなったり、残留応力が生じ、条件によっては焼割れ、焼曲がりが発生する。
焼なまし
再結晶温度に加熱、保持の後、普通炉冷によりゆっくり冷ます。目的としては残留応力の除去、材料の軟化、切削性の向上、冷間加工性の改善、結晶組織の調整などである。また、鋼種、目的により加熱温度と徐冷の方法が変わってくる。
焼ならし
焼準(しょうじゅん)ともいう。圧延、鋳造、鍛造などで製造された製品内部の残留応力を除いたり粗大化した結晶粒を微細化し、靭性や機械的性質の改善をはかるものである。鋼の場合、800~900℃(オーステナイト化温度)まで加熱して大気中で放冷(空冷)する熱処理である。
焼戻し
焼入れ材を適温に再加熱し冷却することを焼戻しという。焼入れした材料は硬くなりすぎたりもろくなり実用に適さない場合があり、こうした欠点の改善や、焼入れによって生じた残留応力の除去を目的とした焼入れ処理後の再熱処理といえる。
ヤング率(縦弾性係数 E)
ゴムやバネは引張ったり変形させても力を加えるのを止めると元に戻る性質がある。これを弾性といい、この弾性の限界点=「弾性限度」に至るまでは荷重の増加に比例して伸びが発生する比例部分があり (フックの法則)、この限界点を比例限度という。そして材料がフックの法則に従う時、比例限度内での垂直方向の荷重(応力σ)と伸び(ひずみε)の比例定数を縦弾性係数 Eという。Eが大きい程、 同じ荷重に対して伸びは小さくなる。E=σ/ε(kgf/mm2)
融点
溶解温度のこと。結合力の強い金属ほど融けにくく高温となる。(タングステン3410℃~すず232℃)鉛327℃、亜鉛419℃、アルミ660℃、6/4黄銅905℃、青銅950℃、銅1083℃、ステンレス1420℃、ニッケル1453℃、鉄1535℃、チタン1668℃
溶体化処理
「固溶化熱処理」参照
ステンレス用語、ステンレス用語集ラ・ワ行
粒界腐食
押込み硬さで、先端が頂角120℃の円錐形ダイヤモンド圧支と鋼球圧支のいずれかを用いる。まず基準荷重を加え、次に試験荷重を加え、再び基準荷重に戻したとき、前後2回の基準荷重における圧支の侵入深さの差から硬さを求める。
ロックウェル硬さ HR
押込み硬さで、先端が頂角120℃の円錐形ダイヤモンド圧支と鋼球圧支のいずれかを用いる。まず基準荷重を加え、次に試験荷重を加え、再び基準荷重に戻したとき、前後2回の基準荷重における圧支の侵入深さの差から硬さを求める。
ワイプダウン
「フランジアップ」とも言います。 2工程をかけてフランジのない製品に仕上げる加工法で、外径側のトリム段差を抑えることができます。まず、フランジR部付近で予備トリムをします。その後、絞り加工をして残ったフランジ部分を立たせます。ただし、フランジR部の跡がショックライン(凹凸)として残ります。